介知(読み)けち

日本歴史地名大系 「介知」の解説

介知
けち

中世前期は郡名としてみえ、のち与良よら郡のうちとなる。嘉暦二年(一三二七)八月二二日の宗妙意書下(与良郷宗家判物写、以下断りのない限り同判物写)に「介知兵衛太郎丞」とみえ、「対馬島大掾并司帳職」が安堵されている。当地名を称するこの人物は平安期より対馬在庁の有力者で当地を拠点にしていたとされる阿比留氏と考えられ、宗氏の台頭後も住吉宮の神職を相承するなど当地に居住した。嘉暦二年「大せう」「大せうしき」とみえるが(同年一一月二七日宗妙意書下など)、貞和二年(一三四六)「大掾并司帳職」を安堵された介知六郎兵衛尉は(同年八月三日宗妙意書下)、やはり阿比留氏であろう。同四年「けちの大せう」は近年「ミね・いな・さこ・しうし」などが「すいしう」役の用途を無沙汰していると訴え、宗妙意は本年は納入するようこれらの郡司・警固使に命じた(同年一〇月八日「宗妙意書下」宗家判物写)。正平八年(一三五三)六郎兵衛尉の在家の公事は「かミの御めんしやう」や「こ入道殿」の施行状などからその相続に問題はないので、今後は公事の催促を行わないよう伊奈いな郡・佐護さご郡の沙汰人に命じられ(同年九月二〇日「宗宗香書下」島雄成一所蔵文書)、六郎兵衛は貞治二年(一三六三)「つしまのしまの大せうしき」の任料一〇貫文を払った(同年八月三日宗妙意請取状)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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