交感神経刺激気管支拡張剤(読み)コウカンシンケイシゲキキカンシカクチョウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

交感神経刺激気管支拡張剤

製品名
《エフェドリン塩酸塩製剤》
ヱフェドリン(日医工)
エフェドリン塩酸塩(丸石製薬)
《dl-イソプレナリン塩酸塩製剤》
アスプール(アルフレッサファーマ)
《dl-メチルエフェドリン塩酸塩製剤》
メチエフ(田辺三菱製薬、ニプロESファーマ)
dl-塩酸メチルエフェドリン(中北薬品、日興製薬販売、吉田製薬)
dl-メチルエフェドリン塩酸塩(三恵薬品)
メチルエフェドリン(扶桑薬品工業)
《トリメトキノール塩酸塩水和物製剤》
イノリン(ニプロESファーマ)
トスメリアン(東和薬品
トリメトキノール塩酸塩(辰巳化学)
【交感神経βベータ2選択性刺激剤】
《インダカテロールマレイン酸塩製剤》
オンブレス(ノバルティスファーマ)
《クレンブテロール塩酸塩製剤》
スピロペント(帝人ファーマ)
トニール(日本ジェネリック、原沢製薬工業)
《サルブタモール硫酸塩製剤》
サルタノールインヘラー(グラクソ・スミスクライン)
サルブタモール(日医工)
ベネトリン(グラクソ・スミスクライン)
《サルメテロールキシナホ酸塩製剤》
セレベント(グラクソ・スミスクライン)
《ツロブテロール製剤》
ツロブテロール塩酸塩(大原薬品工業、東和薬品)
ツロブテロール塩酸塩DS(大原薬品工業、東和薬品)
ツロブテロール塩酸塩DS小児用(高田製薬、東和薬品)
ツロブテロールテープ(エルメッド、エーザイ、大原薬品工業、杏林製薬、キョーリンリメディオ、沢井製薬、シオノケミカル、第一三共、第一三共エスファ、高田製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、帝國製薬、東和薬品、ニプロファーマ、日本ジェネリック、日医工、ニプロ、日本ケミファ、久光製薬、ファイザー、メディサ新薬、祐徳薬品工業)
ベラチン(ニプロESファーマ)
ベラチン小児用(田辺三菱製薬)
ホクナリン(マイランEPD)
ホクナリン小児用(マイランEPD)
ホクナリンテープ(マイランEPD)
《テルブタリン硫酸塩製剤》
テルブタリン硫酸塩(辰巳化学、日本ジェネリック)
ブリカニール(アストラゼネカ)
《フェノテロール臭化水素酸塩製剤》
フェノテロール臭化水素酸塩DS小児用(大原薬品工業)
ベロテック(日本ベーリンガーインゲルハイム
ベロテックエロゾル(日本ベーリンガーインゲルハイム)
ポルボノール(高田製薬、日本化薬)
モンブルト(日新製薬
《プロカテロール塩酸塩水和物製剤》
エステルチン(高田製薬、日本化薬)
プロカテロール塩酸塩(沢井製薬、武田テバファーマ、武田テバ薬品、武田薬品工業、東和薬品、日医工、日新製薬、ファイザー)
メプチン(大塚製薬)
メプチンエアー(大塚製薬)
メプチンキッドエアー(大塚製薬)
メプチンスイングヘラー(大塚製薬)
メプチンミニ(大塚製薬)
《ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤》
オーキシス(アストラゼネカ、Meiji Seika ファルマ)

 気管支筋の緊張をやわらげて気管支の内腔ないくうを広げ、空気の通りをよくする作用(薬によっては鼻粘膜を収縮する作用)があり、喘鳴ぜんめい(呼吸するたびにのどがヒューヒュー、ゼイゼイいう)、息切れ、呼吸困難といった喘息ぜんそく発作の症状を改善する薬です。


 薬には長時間効き目があり、喘息発作を起こさないよう調節するもの(コントローラー)と、すばやく短時間で効き目があり、急な喘息発作を止めるもの(リリーバー)があります。


 気管支喘息の治療のほかかぜいん喉頭炎こうとうえん気管支炎肺結核などの呼吸器疾患に伴うせき呼吸困難気管支けいれんなどの治療にも使用されます。ただ、心臓へも作用し、血圧の上昇、動悸どうき、不眠などの副作用をおこすこともあります。


 インダプテロール製剤ホルモテロールフマル酸塩水和物製剤は、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎肺気腫)の治療に用いられます。


 交感神経βベータ2選択性刺激剤は、できるだけ気管支だけに作用するようにつくられていて、動悸、血圧の上昇といった副作用が少ない薬です。サルメテロールキシナホ酸塩製剤は、長時間作用するタイプです。


 フェノテロール臭化水素酸塩製剤吸入剤)は、ほかのβ2刺激剤が無効な場合に限って使われます。


①過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなどのアレルギー症状)、血清カリウム値の低下が現れることがあります。また、テルブタリン製剤プロカテロール製剤ツロブテロール製剤(テープ)、サルメテロールキシナホ酸塩製剤では、アナフィラキシーが現れることがあります。このような症状が現れたら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


②薬によって差はありますが、動悸、不整脈、頭痛、手の震え、不眠、めまい吐き気、食欲不振、口の渇きなどががおこることがあります。このような症状がおこった場合は、医師に相談してください。


①喘息発作は、その人によっておこりやすい時間がほぼ決まっています。問診の際に医師とよく相談し、自分の症状にあった使用時間を決めてもらってください。


 また、同じ成分の薬でも、メーカーによって効果や効力に違いがあります。かってに薬を変更しないでください。


 過度に使用を続けることで、不整脈や心停止を引き起こすおそれがあるため、使いすぎに注意してください。


②いろいろな剤型がありますが、1日の使用回数と使用時間・1回の使用量については医師の指示をきちんと守り、かってに中止したり、増量・減量しないでください。


 エアゾール剤は、容器をよく振って中の薬をよく混ぜ、十分に息を吐き出したあとにアダプターを口にくわえ、息を吸い込むと同時に噴霧してください。このとき液が目に入らないようにしてください。


 また、過量に使用すると副作用(動悸、頻脈など)が現れやすくなります。使用量については医師の指示を守ってください。指示された期間内に薬がなくなった場合は使い過ぎなので、医師の診察を受けてください〔噴霧剤・エアゾール剤の使用法〕。


③あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告するとともに、使用前に薬の効果と副作用について医師・薬剤師からよく説明を聞き、注意事項をきちんと守ってください。


 過去にこの薬を使用して過敏症状をおこしたことのある人、またエフェドリン製剤イソプレナリン塩酸塩製剤フェノテロール臭化水素酸塩製剤では、カテコールアミン製剤を使用中の人はこれらの薬を使えません。dl-メチルエフェドリン製剤では、カテコールアミン製剤(アドレナリンなど)を使用中の人には使用できません。さらにエフェドリン製剤、メチルエフェドリン製剤を使用中の人、頻脈性不整脈がある人はこの薬を使えません。クレンブテロール塩酸塩製剤では、下部尿路閉塞がある人はこの薬を使えません。


 また、甲状腺機能亢進症こうじょうせんきのうこうしんしょう、高血圧症、糖尿病、緑内障、前立腺肥大症ぜんりつせんひだいしょう、てんかん、心臓・大動脈の病気がある人などは、医師に報告してください。


④妊婦、現在妊娠する可能性のある人、母乳で授乳中の人は、あらかじめ医師に報告してください。


⑤着色料など食品添加物で喘息発作が悪化したり、コーヒー日本茶紅茶などのカフェインを含む飲料を多量に飲むと、薬が効きすぎて副作用がおこりやすくなります。


⑥この薬を服用中にほかの薬を使用する必要があるときは、使用前に必ず医師に報告してください。


 薬によって、抗甲状腺剤、ほかの交感神経興奮剤〔血圧上昇アミン剤〕、非ステロイド抗炎症剤解熱鎮痛剤カテコールアミン製剤、ステロイド、利尿剤などと併用すると、副作用が強く現れたり、喘息発作が悪化する場合があります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報