井籠造(読み)せいろうづくり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「井籠造」の意味・わかりやすい解説

井籠造
せいろうづくり

木材井桁(いげた)状に積み重ねて四面の壁とした建築構造。井楼(せいろう)造ともいう。三角形の稜(りょう)を削り落としたような木材による井籠造を校倉(あぜくら)造ともいう。弥生(やよい)時代の高床(たかゆか)の穀倉のように、古くから倉庫建築にこの構造がみられる。板材を積み上げた倉を板倉、丸太材を積み上げた倉を丸木倉という。秋田県北秋田市綴子(つづれこ)の胡桃館(くるみだて)遺跡からは、板を組み重ねた平安時代末期(12世紀後半)の井籠造の住宅が2棟発掘されていて、住宅にもこの構造例があったことが知られている。寒地では凍結剥落(はくらく)するおそれのある土壁よりも、板壁のほうが耐久性があるからか、北欧民家にはいまも井籠組の住宅が多くみられる。

[工藤圭章]

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