五島氏(読み)ごとううじ

改訂新版 世界大百科事典 「五島氏」の意味・わかりやすい解説

五島氏 (ごとううじ)

肥前国松浦郡五島(現,長崎県五島市,南松浦郡新上五島町など)を領有した1万2530石の近世大名。肥前国松浦郡宇久島(現長崎県佐世保市,旧宇久町)を本拠とした宇久氏は,1383年(弘和3・永徳3)宇久覚の代に福江島に移住し,その子勝は本拠を深江(現長崎県五島市,旧福江市)に定めた。そののち五島を平定し,1587年(天正15)島津征伐のため九州に下向した豊臣秀吉に帰伏し,五島の支配地を安堵された。92年(文禄1)文禄の役出陣に当たり,姓を五島氏と改めた。江戸幕府成立後,1617年(元和3)1万5530石の所領を給付されたが,その領域は五島列島内に限られていたので,藩財政は苦しかった。19年藩政確立期に五島藩乗取り事件である大浜主水事件が起きたが,五島盛利は幕府の支持をえて,主水一味を処刑し,家臣団を福江城下に集める“福江直り”を実施して,福江藩の基礎を確立した。そののち61年(寛文1)に盛利の三男盛清に富江領3000石を分知したため,以後石高は1万2530石に減じた。明治以後は子爵
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の五島氏の言及

【福江藩】より

…肥前国(長崎県)南松浦郡福江に藩庁を置いた外様小藩。藩主は五島氏。1万2530石。…

※「五島氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」