乗馬始(読み)じょうばはじめ

精選版 日本国語大辞典 「乗馬始」の意味・読み・例文・類語

じょうば‐はじめ【乗馬始】

〘名〙 中世将軍家などで、男子がはじめて馬に乗る儀式。また、室町幕府で、将軍が正月二日に、その年はじめて馬に乗る儀式。→御乗馬始め

のりうま‐はじめ【乗馬始】

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改訂新版 世界大百科事典 「乗馬始」の意味・わかりやすい解説

乗馬始 (じょうばはじめ)

武家時代の儀式行事の一つ。文字どおり初めて乗馬を試みる行事であるが,通過儀礼としての乗馬始と,年中行事としての乗馬始との二つに大別される。前者は著袴,涅歯(でつし),御判始などと同様,元服の儀と相前後して行われる。《吾妻鏡》によれば,鎌倉将軍九条頼嗣は1241年(仁治2)北条泰時の扶持によって3歳にして乗馬始を行っている。また足利義尚は1473年(文明5)4月10日9歳で乗馬始の儀を行った。その模様を《常徳院殿様御乗馬始記》にうかがうと,義尚を伊勢貞宗が抱いて馬に乗せ,貞宗と小笠原民部少輔が両脇に参り,また馬の両口には伊勢八郎左衛門と同左京亮がそれぞれ従い,馬場を3遍ほどうちまわった。一方,年中行事としての乗馬始は,とくに室町幕府のそれが注目される。正月2日が式日とされ,松の庭において幕府近臣らの祗候のもとに将軍がみずから乗馬を試みたのである。手綱,鞭,腹帯等の馬具は伊勢家で調進するのが例であった。
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