久留米藩旧家由緒書(読み)くるめはんきゆうかゆいしよがき

日本歴史地名大系 「久留米藩旧家由緒書」の解説

久留米藩旧家由緒書(旧家由緒書)
くるめはんきゆうかゆいしよがき

六巻

成立 嘉永四年

原本 久留米市民図書館新有馬文庫

解説 全六巻のうち第一巻に城下町人、第二巻に郡方下代や土器師・御手畳師など扶持を受けている者、第三巻以降に郡部居住の大庄屋庄屋など農民を中心に鋳物師や踊子などの特殊な技術をもつ者というように、ほぼ身分ごとに編集している。嘉永四年は、弘化三年に襲封した一一代藩主有馬頼咸が初めて入国した年で、第一巻に「弘化二巳年御酒頂戴被仰付候者名前吟味仕書上申候」「天保二卯年御祝儀の節拝見被仰付、御赤飯頂戴被仰付候処、弘化二巳年御酒頂戴の節書上落ニ相成申候ニ付、此節書上申候」とあるので、選考基準が一〇代藩主頼永就封時の御酒頂戴に召出された者に置かれたことが指摘できる。この点に関して「米府年表」に「丹波より御入部之節御当地へ引越代々相続之筋目分明成分、一格別の由緒有之家筋或は抜群の功業相立候義有之類、右之通の家筋無格の内有之候はゞ当月廿日迄可書出旨支配へ可被申渡候事」とあるので、頼永襲封時にも調査したことがわかる。本書は頼咸入国にあたり前代同様の調査を行ったものが残されたと考えられる。内容的には、有馬氏入国以前の旧家動向をはじめとして、城下町や農村社会がどのように形成されたか、旧家筋の者がどのような特権を与えられて成長したかなどが知られる。ただし「旧家筋」の選択が不明瞭で、中世土豪の系譜に連なる由緒をもつ大庄屋二五家のうちの三分の一のみと、城下町別当は八名のうちの半数しかみえない。つまり旧家筋が網羅されていないという限界や、語り伝えの記述による歴史的事実誤認もある。

活字本 昭和五〇年刊

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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