中薬(読み)ちゅうやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中薬」の意味・わかりやすい解説

中薬
ちゅうやく

日本でいう漢方薬のことで,中国伝統医学を「中医学」と称することが多くなったように,この言葉近年になって使われ出した。なお中国では,言い伝えで用いられる民間薬を「草薬」と称し,両方を併せて「中草薬」という言い方もする。中医学で常用される中薬は,日本漢方のものよりも多く,200~500種にもなる。また,その時の状態に合わせてさじ加減しながら処方した薬ではなく,すでに調合してある中薬のことは中成薬と呼び,日本の売薬の漢方薬や漢方エキス剤のことをいう。

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世界大百科事典(旧版)内の中薬の言及

【生薬】より

… 東南アジア各国にはそれぞれ伝統的医療があって,利用される生薬の種類はさまざまである。シンガポールでは急速に近代化が進められているが,伝統的な中薬(中医方によって用いられる生薬)店とそこに雇われている中医はなお健在である。しかしこの10年間で,生薬よりも成薬すなわち生薬製剤を取り扱う薬店の方が増加したといわれる。…

【薬用植物】より

…また漢方製剤には合成医薬品などと同様に保険薬としての取扱いを受けるものもある。薬用植物の利用には地域の民族性が強くはたらき,民間薬をはじめ,伝統薬,漢方薬,和漢薬,中薬,中草薬(中国の民間薬),洋薬などという呼び方がある。このうち洋薬とは古代からヨーロッパで使われてきたものに,16世紀以降,新大陸,アフリカおよび東南アジア地域で利用されていたものが移入されて,その薬効成分が研究され,強い生理作用をもつ生薬が加えられたものである。…

※「中薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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