中東調査会(読み)ちゅうとうちょうさかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中東調査会」の意味・わかりやすい解説

中東調査会
ちゅうとうちょうさかい

中東の研究・調査を目的とする日本のシンクタンク。1956年(昭和31)に発足し、現存するなかでは日本でもっとも古い中東研究機関とされている。英語名はMiddle East Institute of Japan。1960年に外務大臣所管の財団法人となり、公益法人改革に伴って2012年(平成24)には公益財団法人へ移行した。中東地域・諸国の政治・経済・社会・文化・スポーツなどに関する情報収集や研究のほか、外務省などからの委託調査を請け負う。機関誌『中東研究』は1957年の創刊以来、中東に関する論文や時事解説を掲載する中東総合誌として定評がある(途中、一時停刊)。このほか月刊『中東トピックス』、随時刊行の『中東分析レポート』、中東年鑑として知られる『中東研究暦年総集編・中東各国動向』などの刊行も行っている。中東事情を紹介する講演会、セミナー、シンポジウムなどを開催するほか、中東調査会資料センターではデータベースの作成や「中東調査会Daily News」の発行・発信をしている。本部を東京都新宿区西新宿に置く。法人・個人会員の会費をおもな運営資金とする。中東戦争オイル・ショックイランイラク戦争イスラム過激派台頭などに伴い、中東に関する専門研究機関として広く認識されている。

 もともと1955年、外務省に中近東・アフリカ地域担当として欧米局第7課が設立されたのを機に、同7課の調査や資料作成を受託する任意団体として発足した。発足時は第二次世界大戦時のイスラム研究を担当した回教圏研究所調査部長の小林元(はじめ)(1904―1963)を中心に、南満州鉄道東亜経済調査局出身で慶応義塾大学教授の前嶋信次(まえじましんじ)(1903―1983)らが主要メンバーであった。歴代理事長は国会議員や大使経験者が務め、会長職には財界人がついている。

[矢野 武 2015年9月15日]

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