不育症(読み)フイクショウ

デジタル大辞泉 「不育症」の意味・読み・例文・類語

ふいく‐しょう〔‐シヤウ〕【不育症】

妊娠はするが、流産早産を繰り返し、生児を得られない病態総称反復習慣流産ほか死産早期新生児死亡を繰り返す場合なども含まれる。原因として染色体異常・子宮形態異常・内分泌異常・血液凝固異常・免疫異常・感染症などがあげられるが半数以上は原因不明。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不育症」の意味・わかりやすい解説

不育症
ふいくしょう

妊娠しても、習慣性流産(連続3回以上の自然流産の繰り返し)や早産、子宮内胎児死亡などにより生児が得られない病態。妊娠は認められるため、不妊症とは異なる。生児を分娩(ぶんべん)することがまったくできない状態を原発性不育症、1人目を正常に分娩しても、2人目以降、続けて流産を繰り返す状態を続発性不育症という。習慣性流産や反復流産(2回連続の自然流産)とほぼ同義として使われることも多いが、不育症はより広い意味で用いられる。

 原因としては、両親のいずれかまたは両方の染色体異常、抗リン脂質抗体陽性などの免疫学的異常、子宮形態異常、子宮内膜症、内分泌異常、糖尿病、性感染症などがあげられる。原因不明の場合も多いが、スクリーニング検査により原因を特定して治療することで、生児が得られるケースも増えている。

[編集部]

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知恵蔵mini 「不育症」の解説

不育症

妊娠しても胎児が育たずに流産や死産などを繰り返すこと。流産(妊娠22週未満の分娩)を2回以上繰り返す、妊娠22週以降に死亡した胎児を出産する死産、といった症状の総称。通常、胎嚢が確認できる前に発育が止まる化学(的)流産は含まれない。流産の原因は多岐にわたるが、胎児の染色体異常によって起こる場合が多く、加齢により発生リスクが高まるとされる。原因が明らかな場合は治療によって無事に出産できるケースも少なくないが、検査や治療の費用が高いことが課題となっている。2020年時点で助成金の制度を設けている自治体は約3割にとどまっており、支援の拡充が求められている。

(2020-10-27)

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世界大百科事典(旧版)内の不育症の言及

【不妊症】より

…結婚後の避妊期間を除いて,2年以上経過しても生児を得られない状態をいう。全夫婦の約10%にみられるといわれ,1度も妊娠していないものを〈原発性不妊〉,すでに子どもはいるが,その後妊娠しないものを〈続発性不妊〉といい,妊娠はするが生児を得られない場合を〈不育症infertility〉と呼んで区別している。不妊の原因は種々たくさんあり,男性,女性のいずれにあるかで〈男性不妊〉と〈女性不妊〉に大別され,その比率は2対3といわれている。…

※「不育症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」