日本大百科全書(ニッポニカ) 「下総(しもふさ)」の意味・わかりやすい解説
下総(しもふさ)
しもふさ
千葉県北部、香取郡(かとりぐん)にあった旧町名(下総町(まち))。現在は成田市(なりたし)の北部を占める地域。下総(しもうさ)台地と利根(とね)川右岸低地にまたがる。旧下総町は1955年(昭和30)滑河(なめがわ)町と小御門(こみかど)村、高岡村が合併して成立。2006年(平成18)成田市に編入。地名は旧国名による。下総台地崖下(がいか)をJR成田線、国道356号が走る。中世には千葉氏の一族大須賀氏の支配下にあったが、江戸時代には旗本領。滑河(滑川)は利根川水運時代の渡船場として栄え、今日では水郷(すいごう)農村の中心地をなす。主産業は農業で、低地での早場米と台地のサツマイモ、ラッカセイやハウス野菜の生産に特色がある。坂東(ばんどう)三十三所霊場第28番札所(ふだしょ)の龍正院(りゅうしょういん)は、慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)の創建で、仁王門は国指定重要文化財。本堂は県の文化財に指定されており、滑河観音(かんのん)の名で安産・子育ての信仰が盛んである。また、藤原師賢(もろかた)を祀(まつ)る小御門神社もある。
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