上阿原村(読み)かみあはらむら

日本歴史地名大系 「上阿原村」の解説

上阿原村
かみあはらむら

[現在地名]甲府市上阿原町

むこう村の西、笛吹川(現平等川)北岸にある。古くは上新居かみあらいと称し、「甲斐国志」は上阿原を「かみあらい」と読んでいる。かつて当村は石和いさわ御厨に属していたため、伊勢神宮の末社として地内に神明宮が創建されたという(同書)。村名は往古同社の神事の一つであった素盞嗚尊の神逐の儀にちなむとされる。この祭礼は同社に伝わるもののなかでも規模が大きく、近隣からは神逐に遭うことを恐れられ、当地が神聖視されたことから神逐かみやらいの里とよばれるようになったらしい。この呼称神新居かみあらい・上新居と変化し、また中郡筋に数例ある阿原地名と混同されて村名になったともいうが(以上「社記」など)、水に近く交通は妨げられるが開田しやすいとの地形的特徴を表すアワラと、集落が新たに形成されたことを示すアライが併用されたのち阿原の表記とアライの読みに定着したとの説もある。文久二年(一八六二)版の甲斐四郡村名尽(県立図書館蔵)には「かみあはら」とみえる。

永禄四年(一五六一)の番帳の二七番に記される「かみ新居の禰き」は当村神明宮の神主とみられ、府中八幡の勤番を命じられていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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