三時教判(読み)さんじきょうはん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三時教判」の意味・わかりやすい解説

三時教判
さんじきょうはん

仏教用語。経典の成立期を釈尊一代の間と考えて,その教説を3時期に分類した経典批判。 (1) 法相宗の説。『解深密経』無自性相品に基づく窺基の説。 (a) 初時有教『阿含経』などの説。すべての存在は因縁和合したものであるが,要素そのものは時間を超越して実在するという説。 (b) 第二時空教 『般若経』などの説。すべての存在は実体のないものであるという説。 (c) 第三時中道教 『華厳経』や『解深密経』などの説。非有非無の中道の説。それぞれ (a) 小乗教,(b) 小乗から大乗への過渡期にある大乗教,(c) 真の大乗教を説くものとし,前の2者を未完成な教えであって,あとの1者を完全に真実を説いている教えとする。 (2) 三論宗の説。 (a) 初時教 主観客観もともに実在するという小乗教。 (b) 第二時教 主観のみ実在すると説く法相大乗。 (c) 主観も客観も実体のないものであって空であるとする無相大乗。無相大乗のみが完全に真実を説き表わした教えであるとする。

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