三州御治世要覧(読み)さんしゆうごちせいようらん

日本歴史地名大系 「三州御治世要覧」の解説

三州御治世要覧
さんしゆうごちせいようらん

清水盛富編著

成立 宝暦五年(宝暦本)・安永七年(安永本)

原本 東京大学史料編纂所(安永本)

写本 鹿児島県立図書館・鹿児島大学附属図書館玉里文庫(以上宝暦本)

解説 編者の清水盛富は「盛香集」を著した清水盛香と同一人物と推定される(旧記題苑)。宝暦本一二巻・安永本四〇巻よりなる。両書とも本文編は武家濫觴に始まり、琉球出兵翌年の慶長一五年までの島津氏を中心とした南九州および鹿児島藩の歴史を著述。宝暦本は巻一―一一までの本文編と寛永二一年までの追加編、および付録編としての巻一二の人物小伝からなり、安永本は巻一―三四の本文編と巻三五―四〇の付録編からなり、巻三五は年代記(慶長一五年―安永七年の藩政史年表)、巻三六は御分国之巻(統計資料)、巻三七は御家格政治向(一門一所持領主以下小番に至る家格規定や藩士名ほか)、巻三八は当時御役人(安永七年時点の藩役人帳)、巻三九は系図編、巻四〇は総目録編となっている。巻三六の御分国之巻には鹿児島近在二五ヵ村はじめ諸外城・私領(郷)および島嶼ごとに所属村落数や石高、衆中持高・衆中人躰・衆中人数、個々の村高・用夫数ほか主要な社寺祭礼、本末関係に関する記事、町・湊・浦・牧・番所・温泉などの事項がとどめられ、近世中期の鹿児島藩の実情が詳細に知られる。安永本に収載されている郷村関係の統計資料は延享三年頃の各郷・村の各種統計数値を集成したものと推定される。ただし御分国之巻の転写作業の過程で生じたと推定される誤写や欠落個所も少なくなく、慎重な活用が求められる。

活字本 鹿児島県史料集二五(安永本巻三五―三八)

三州御治世要覧
さんしゆうごちせいようらん

清水盛富(盛香)編著

成立 宝暦五年(宝暦本)・安永七年(安永本)

分類 記録

写本 鹿児島県立図書館・鹿児島大学附属図書館玉里文庫(宝暦本)、東京大学史料編纂所(安永本)

解説 宝暦本は一二巻、安永本は四〇巻から構成されている。両書とも武家濫觴に始まり、琉球出兵前後までの藩政史を概述している。本文が慶長一五年で記述をとどめたのは、島津義久と家久以後の藩政を区別したことによるかと推定されている。なお安永本に収められている統計資料はその紀年とは異なり、延享年間における諸郷村の各種データを集成したものと考えられる。

構成 宝暦本は巻一―巻一一(本文・追加編)・巻一二(人物小伝)、安永本は巻一―三四(本文)・巻三五―三八(近世史年表・記録)・巻三九(系図)・巻四〇(惣目録)

活字本 鹿児島県史料集25に巻三五(年代記)・巻三六(御分国之巻)・巻三七(御家格御政治向)・巻三八(当時御役人)が翻刻されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報