丈比・丈競(読み)たけくらべ

精選版 日本国語大辞典 「丈比・丈競」の意味・読み・例文・類語

たけ‐くらべ【丈比・丈競】

[1] 〘名〙
① 高さを比較すること。高さを競うこと。
背丈長短を比較すること。背の高さをくらべること。また、能力の優劣を競うことにもいう。せいくらべ。
※米沢本沙石集(1283)一「ひきう人長くらへは、ひきくをかちとするが如し」
※御伽草子・猫の草紙(江戸初)「かやうに申し候へば、ねずみたけくらべのやうに候へども」
連歌連句で、長句の次に長句を、また短句の次に短句を、誤って付けてしまうこと。
※初心求詠集(1429頃)「付句の指合たけくらべなどする事頗(すこぶる)恥辱にも似たる物か」
謡曲で、同じ節が続くこと。
※舞正語磨(1658)上「謡(うたひ)にもたけくらべとて、おなじ節のかさなるをきらひ」
⑤ 鷹(たか)の翼の先端の部分。
[2] (たけくらべ) 小説。樋口一葉作。明治二八~二九年(一八九五‐九六)発表。東京新吉原界隈(かいわい)下町を舞台に、伎楼大黒屋の養女美登利と龍華寺の信如の淡い思慕を中心に、遊郭付近の少年少女の生態を雅俗折衷文体で抒情的に描く。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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