丁寧・叮嚀(読み)ていねい

精選版 日本国語大辞典 「丁寧・叮嚀」の意味・読み・例文・類語

てい‐ねい【丁寧・叮嚀】

〘名〙
① 昔、中国の軍中で、警戒の知らせや注意のために用いられた楽器。〔春秋左伝‐宣公四年〕
② (形動) 注意ぶかく念入りであること。こまかいところまで注意がゆきとどいていること。また、そのさま。
明衡往来(11C中か)上本「修理掃除致丁寧之勤、件泉殊被洒掃
咄本聞上手(1773)ちか目「おとこたちよってていねいに見る」
※錦木(1901)〈柳川春葉〉三「保則は今しも丁寧の書物を為てゐるのである」
③ (形動) 手厚く親切なこと。ねんごろで礼儀正しいこと。また、そのさま。懇切。慇懃(いんぎん)
※明衡往来(11C中か)中末「而当時宰吏輒以収公、雖丁寧之詞、已無子細之答
道草(1915)〈夏目漱石〉四六「一旦横風の昔に返った彼の言葉遣が又何時の間にか現在の鄭寧(テイネイ)さに立ち戻って来た」
④ (形動) なんども繰り返すこと。再三再四行なうこと。また、そのさま。多く、なんども忠告する意に用いられる。
本朝文粋(1060頃)八・山晴秋望多詩序〈藤原惟成〉「顧長康之送遠、思往事而丁寧者也」
自由之理(1872)〈中村正直訳〉四「自ら善し自ら照顧する徳の重んずべき事を丁寧訓告せざるべからず」 〔詩経箋‐小雅
⑤ (形動)(接頭語「ご」を伴って) 冗長なこと。無駄に多いこと。また、そのさまを皮肉に言うときに用いる。
※湯ケ原ゆき(1907)〈国木田独歩〉一「汽車は御丁寧(ごテイネイ)各駅を拾ってゆく」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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