一過性全健忘症候群

六訂版 家庭医学大全科 「一過性全健忘症候群」の解説

一過性全健忘症候群
(脳・神経・筋の病気)

時には健忘症だけが症状のこともある

 脳卒中には時に片麻痺(かたまひ)意識レベルの低下以外に、一般の人がみると脳卒中とは思えない症状の場合もあります。その例のひとつに「一過性全健忘」があります。

 これは必ずしも脳卒中にかぎらず、頭部外傷や何らかの精神的ショックがあった時や、てんかんのひとつの症状としても起こるのですが、一時的で、病院に行った時は治っていることが多いので、医師にすら診断できないこともあります。

 一過性全健忘の症状は、急に自分でも何かおかしく感じて、周囲の人などに「自分は今、何をしていたか、今は何時か、食事はしたか」などの質問をしますが、すぐに忘れてまったく同じ質問を何回も繰り返すので周囲の人もおかしいと気づきます。今までしていたこと、今したことや、今聞いたことをすぐ忘れてしまいますが、自分の名前や、よく知っている周囲の人々の名前、過去のことなどを間違えることは通常ありません。計算などや一般常識も保たれていますが、今から数日前あるいは数週間くらい前のことは完全に忘れていることが多いのです。

 だいたい1日以内にこの症状はよくなり、以前のことも少しずつ思い出しますが、時には発症直後のことだけは思い出せないままになってしまうこともあります。

 この症状は再発することは比較的少なく、これがきっかけで完全な健忘症認知症(にんちしょう)になることはまれなので、あまり心配しなくてよいのですが、一度専門家原因をよく調べてもらうとよいでしょう。この原因が脳卒中であることもあるからです。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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