一之瀬・高橋(読み)いちのせ・たかはし

日本歴史地名大系 「一之瀬・高橋」の解説

一之瀬・高橋
いちのせ・たかはし

[現在地名]塩山市一之瀬高橋

上萩原かみはぎわら村・上小田原かみおだわら村から萩原山中を北東へ三里半の道程にある二つの集落(享保九年「萩原十ヶ村入会山明細帳」古屋信義家文書)。一之瀬は笠取かさとり山の南、藤尾ふじお(天狗棚山)の北で多摩川源流部の一之瀬川上流に位置し、高橋は藤尾山の西にあり、東流して一之瀬川に合する柳沢やなぎさわ川の支流高橋川中流域に集落を形成する。犬切いぬきり峠で結ばれる両集落は合せて一之瀬・高橋両沢とよばれた。一之瀬は市之瀬とも書き、市野瀬も併用された。一之瀬・高橋百姓始りの書上(田辺源吾家文書)は明暦―万治(一六五五―六一)頃に両集落の百姓が成立したと伝えるが、黒川くろかわ金山の衰退により金掘が離散していく過程での移住であるので、一七世紀中頃までの成立が推定される(前掲入会山明細帳)

両集落は上萩原村ほか九ヵ村入会の萩原山中にあったので、行政上の独立村ではなく萩原山入会一〇ヵ村の枝郷に置かれ、それが法的に確定したのは延宝二年(一六七四)の山境論裁許状(矢崎一男家文書)による。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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