ロンドン・ナショナル・ギャラリー(読み)ろんどんなしょなるぎゃらりー(英語表記)National Gallery, London

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロンドン・ナショナル・ギャラリー
ろんどんなしょなるぎゃらりー
National Gallery, London

ロンドンにある美術館。13世紀から1900年までの西洋絵画が系統的に収蔵されている。実業家アンガースタインJohn Julius Angerstein(1735―1823)が残したコレクションを、1824年国家が買い上げ、ペル・メル街の彼の邸宅を改造して開設。ウィルキンズWilliam Wilkins(1778―1839)設計の新古典様式の美術館が現在地トラファルガー・スクエア北側に建造されたのは1838年である。創建当初の姿を伝えるのは正面部のみで、内部は作品の増加、諸設備の改良などで増改築が繰り返され、1975年に北西側の新館が増設された。1991年には新たにサンズベリー・ウィングが隣地に完成し、初期ルネサンスのコレクションが展示されている。

 38点で出発したコレクションの数は2002年現在約2300点、ヨーロッパの大美術館に比べるとけっして多いとはいえないが、美術史上の代表的絵画作品を系統的に収集している点、類をみない。ヤン・ファン・アイク『アルノルフィニ夫妻』、ピエロ・デッラ・フランチェスカキリスト洗礼』、レオナルド・ダ・ビンチ『岩窟(がんくつ)の聖母』『聖アンナと聖母子(画稿)』、レンブラント水浴の女』、セザンヌ『大水浴図』、スーラ『アニエールの水浴』などの世界的名作とともに、ホガース『えび売りの娘』、ゲーンズバラ『水のみ場』など自国画家の作品も多い。美術館が所蔵する作品を展示する常設展は無料で公開されている。

[湊 典子・吉川節子]

『井藤雅子編、荒川裕子訳『ナショナルギャラリー20の名画 ロンドン・ナショナルギャラリー鑑賞の手引き』(1991・ミュージアム図書)』『ケネス・クラーク著、高橋裕子訳『ロンドンナショナルギャラリーの名画から 比べて見る100のディテイル』(1995・ミュージアム図書)』『『ロンドン・ナショナルギャラリー――アートを楽しむ最適ガイド』(1995・世界文化社)』『ジョイ・リチャードソン著、岩坂彰訳『美術館へようこそ 画材から表現まで ロンドンナショナル・ギャラリーの名画に学ぶ絵の見方・楽しみ方12のポイント』(1999・BL出版)』『『週刊世界の美術館11、43 ロンドン・ナショナルギャラリー1、2』(2000・講談社)』


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