改訂新版 世界大百科事典 「ラグーマ」の意味・わかりやすい解説
ラ・グーマ
Alex La Guma
生没年:1925-85
南アフリカ共和国出身のカラード作家。若くしてケープ・タウンを拠点にアパルトヘイト反対闘争に参加,度重なる獄中生活で,カラード青年の苦難と転落を描く中編《夜の彷徨》(1962),長編《そして三重織りの紐は》(1964),獄中記というべき《石の国》(1967)などを書いた。66年イギリスへ亡命。以後アパルトヘイト反対地下組織の人間模様を描く《季節の終りの霧の中で》(1972),《ソビエト紀行》(1978),《モズが虫を串刺しにする時》(1979)などの長編を発表したほか,短編も多い。南ア人種差別社会の暴力を背景にカラードの団結,異人種間の関係,ボーア農民とアフリカ人との間の宿恨などを題材とするものや,貧困,犯罪,差別など日常風景に取材した都市プロレタリアの情況小説といえるものが多い。南ア国内では彼の著作の出版,引用は禁止されている。69年度ロータス賞を受賞。アフリカ人民族会議代表としてキューバに住み,アジア・アフリカ作家会議議長でもあった。
執筆者:楠瀬 佳子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報