毛虫(読み)けむし

精選版 日本国語大辞典 「毛虫」の意味・読み・例文・類語

け‐むし【毛虫】

〘名〙
チョウ、ガなどチョウ(鱗翅)目に属する昆虫幼虫で、体に毛の多い幼虫の俗称。体長二~四センチメートルくらいのものが多い。植物の葉や茎を食べる。毒針毛をもつものもあるが多くは無害。皮虫(かわむし)。《季・夏》 〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・稲莚(1685)上「毛虫落てまま事破る木陰哉〈言水〉」
② (①が、見るからに気味が悪いところから) 人にきらわれる人物のたとえ。
雑俳・軽口頓作(1709)「酒のましや、親仁(ケムシ)がやああいきついたア」
③ (①が見苦しくて、むさくるしいさまであるところから) いなかもののたとえ。
※雑俳・十八公(1729)「毛虫から出替りをして蝶の羽」
④ (毛の多いさまが①を連想させるところから) 濃い眉毛(まゆげ)のたとえ。けむしまゆげ。けむしまゆ。
※雑俳・柳多留‐二(1767)「地女に毛むし二つで化けられず」
股引(ももひき)の前に飾りとして、絹糸を組んで付けたもの。
⑥ 牛や馬を洗う刷毛

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デジタル大辞泉 「毛虫」の意味・読み・例文・類語

け‐むし【毛虫】

チョウの幼虫で、体に毛の多いものの俗称。 夏》「みじか夜や―の上に露の玉/蕪村
嫌われ者のたとえ。

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普及版 字通 「毛虫」の読み・字形・画数・意味

【毛虫】もう(まう)ちゆう

けむし。また、けもの。〔大戴礼、曾子天円〕毛蟲のなると曰ひ、蟲のなるを鳳と曰ひ、介蟲のなるを龜と曰ひ、蟲のなると曰ふ。

字通「毛」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「毛虫」の意味・わかりやすい解説

毛虫 (けむし)

鱗翅目昆虫の幼虫の俗称の一つ。体の表面長毛や毛束を密生するものをいう。主としてドクガ科,ヒトリガ科,カレハガ科,ヤママユガ科などの幼虫を指すが,チョウの幼虫にも毛を生ずる種がある。ドクガ科やカレハガ科の一部の種では触れると皮膚炎症を起こすが,多くの種では無毒である。大半は植物の葉を食べるが,ヒトリガ科のうちコケガ類は樹皮や石面上の地衣類を食べる。
青虫 →芋虫
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「毛虫」の意味・わかりやすい解説

毛虫
けむし
caterpillars

鱗翅(りんし)目の昆虫の幼虫で長い毛をもつものの俗称。古くは髯虫とも書き、またカワムシともよんだ。ヒトリガ科、カレハガ科、ドクガ科などに長毛をもつ種が多いが、類縁とはとくに関係はないらしい。毒刺毛(しもう)をもち人体を刺すのはドクガ、イラガなど一部に限られる。長い毛のないものはイモムシとよばれている。

[中根猛彦]

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百科事典マイペディア 「毛虫」の意味・わかりやすい解説

毛虫【けむし】

鱗翅(りんし)目の昆虫の幼虫のうち,体に多くの毛があるものの総称。無毛か微細な毛のあるものは青虫または芋虫として区別されるが,本質的な違いはない。毛は一種感覚器官として働く。管状で毒腺のある毛をもつものもあるが,一般に無毒。人体に有害な種類はイラガ科,ドクガ科,カレハガ科,マダラガ科,ヒトリガ科などの中のごく例外的な種類に限られる。毛の配列は種類によって一定し,幼虫だけで種類を判定する手がかりになる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「毛虫」の解説

毛虫 (ケムシ)

動物。チョウ・ガの幼虫で毛やトゲのあるもの

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世界大百科事典(旧版)内の毛虫の言及

【幼虫】より

…芋虫はサトイモの葉を食べるセスジスズメ,ヤマイモの葉を食べるキイロスズメ,サツマイモの葉を食べるエビガラスズメなどスズメガ科の幼虫である。このほか体表を毛でおおわれているものを毛虫(毒毛をもつものがある。ドクガ科,イラガ科など),地中にすむコガネムシの幼虫を地虫(じむし),カブトムシの幼虫をまんじゅう虫,ハエやアブの幼虫をうじ虫などと呼び,クリのうじ(クリミガ,クリシギゾウの幼虫),モモのうじ(シンクイガの幼虫)などもある。…

※「毛虫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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