モータリゼーション(中国の)(読み)もーたりぜーしょん/ちゅうごくのもーたりぜーしょん(英語表記)motorization

知恵蔵 の解説

モータリゼーション(中国の)

発展途上国では、1人当たりの国民所得が3000ドルを上回ると、モータリゼーションが急加速するといわれている。2000年以前、中国の自動車需要は、商用車が中心であり、乗用車需要は一部の高所得層、法人需要(タクシーを含む)などのウエートが大きかった。ところが00年に入ると、沿海部、大都市部を中心に、中間所得層にも乗用車需要が広がり、モータリゼーションは本格的な立ち上がりの時期を迎えている。中国の自動車需要の特徴としては、高級車志向が強く20万元(約287万円)から30万元(約430万円)近い中型上級車(アコードティアナなど)がよく売れているが、近年では10万元(約143万円)前後の小型大衆車に対する需要が拡大し、顧客層は厚みを増している。2006年には日本の国内自動車販売を追い越した。中国市場は、1990年代後半までは、フォルクスワーゲンによるガリバー型寡占構造が形成されていた。しかし、モータリゼーションが急速に進み、乗用車需要が急増してきたことから、GMホンダ、トヨタ、現代などが合弁生産を次々に開始し、欧米、日本、韓国の有力企業によるグローバル競争市場に移行しつつある。中国市場では、これらの会社の合弁企業同士による代理戦争が展開されており、中国を制する企業が、グローバル競争の勝者に一歩近づくことになる。

(大鹿隆 東京大学ものづくり経営研究センター特任教授 / 藤本隆宏 東京大学大学院教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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