モンテジア骨折

六訂版 家庭医学大全科 「モンテジア骨折」の解説

モンテジア骨折
(外傷)

 尺骨(しゃっこつ)の近位3分の1の部位骨折橈骨頭(とうこつとう)脱臼を伴う外傷を、モンテジア骨折といいます(図50)。小児に多く発生する外傷ですが、尺骨の骨折のみに目を奪われて、橈骨頭の脱臼が見逃されることも少なくありません。正しい側面X線を撮影しないと、橈骨頭の脱臼の判定は難しいので、注意を要します。

 尺骨は、多少の変形が生じても問題なく癒合します。一方、橈骨頭の脱臼は自然に整復されることはなく、肘関節(ちゅうかんせつ)の変形、回内外可動域制限、疼痛などが残ります。

 陳旧(ちんきゅう)(長い期間経過している)例になった場合、橈骨頭の変形が軽度で受傷後数年以内であれば、尺骨の骨切り術により橈骨頭の整復が可能です。しかし、長期間を経過して橈骨頭の変形がひどくなると、整復できずに橈骨頭の切除を行わざるをえません。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報