日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マーシャル(John Marshall)
まーしゃる
John Marshall
(1755―1835)
アメリカの法律家、政治家。9月24日バージニア生まれ。独立戦争に参加し、1794年のジェイ条約締結にフランスに派遣された。その後、連邦下院議員を経てJ・アダムズ治下の国務長官を務め、フェデラリスト党の下野とともに最高裁首席判事となり、以後34年間この地位にとどまった。その間、マーベリイ対マディソン事件(1803)に際しては、1789年の連邦司法法第13条を違憲とし、事実上初めて違憲立法審査権を発動し、また、1819年のマカロック対メリーランド事件にあたっては、「包含された権限」を論拠として、連邦議会のアメリカ合衆国銀行設立にかかわる権限を認めるなど、合衆国の司法権の確立に努めた。「合衆国憲法の父」ともよばれているように、憲政史に重要な足跡を残した。1835年6月6日没。
[中谷義和]