日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マリー(トルクメニスタン)
まりー
Мары/Marï
トルクメニスタン共和国マリー州の州都。カラクム砂漠の南辺、ムルガーブ川とカラクム運河に臨み、共和国首都アシガバートの東320キロメートルに位置する。人口12万3000(1999)。1937年までメルブМерв/Mervと称した。メルブはアケメネス朝時代に知られ、中央アジアにおける東西交通の要地として経済・文化の面で重要な役割を果たしていたが、1221年モンゴル軍によって破壊された。当時の遺跡は東方30キロメートルのムルガーブ川右岸に残る。1884年軍事上の拠点として現在の町ができ、ロシア革命(1917)後はこの地方の綿花栽培の中心となる。1950年代に始まったカラクム運河開削工事(1986年完成)により、灌漑(かんがい)が進んだ。鉄道の分岐点で農・工業の集散地である。周辺での綿花栽培のほか、繊維工業や製粉、食肉、乳製品などの食品工業、家具・敷物製造などの工業が活発である。近郊には運河の水を利用した水力発電所もある。
マリー州は面積8万6800平方キロメートル、人口114万6800(1999)。人口密度は1平方キロメートル当り13.2人。
[山下脩二]
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