マタニティハラスメント

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マタニティハラスメント」の意味・わかりやすい解説

マタニティハラスメント

妊娠,または出産した女性に対してなされる,妊娠・出産を理由にした不当な解雇降格処分,または精神的・肉体的ないやがらせ(→性差別)。日本では労働基準法男女雇用機会均等法育児・介護休業法などの法律に,女性が働きながら妊娠・出産・子育てを行なう権利について定められているものの,実際には雇用する側の認識の低さや職場環境の不整備によって不利益を被る女性が多く存在し,2010年代初め頃にはこの語が用いられるようになるとともに社会問題化した。妊娠を理由に管理職から降格させられた広島県の女性が,男女雇用機会均等法に反するとして勤務先を訴えた裁判で,2014年10月23日,最高裁判所は,妊娠を理由とする降格は法に反し,双方の同意または特段の事情がないかぎり違法で無効であるとする初めての判断を示し,女性の訴えを退けた 2審判決を破棄審理を差し戻した。2015年11月17日,広島高等裁判所は差し戻し控訴審判決で,降格に合理的理由があるとはいえないなどとして,女性の逆転勝訴を言い渡した。(→性的いやがらせパワーハラスメント

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