ボルト
bolt
物体を締めつけるとき,一般にナットと組合せて用いるねじ部品の総称。特殊なものを除けば,金属の丸棒の一端に頭があり,他端におねじが切ってある。ボルトとナットによる締めつけは,分解,再締結が可能なので,他のどのような締結具よりも広く用いられ,多くの種類が製作されている。 (1) 六角ボルト 六角形の頭をもった最も一般的なもので,並型と小型六角ボルトの2種類があり,仕上げ程度から,上・中・並の3等級に分けられている (小型では上・中のみ) 。 (2) 六角穴つきボルト 円筒形の頭に六角の穴をもつ。原則的にナットと組まず,頭を沈めるときに用いる。 (3) 四角ボルト 四角形の頭をもつボルトで締めつけ場所が小さくてすみ,(1) よりスパナが滑りにくい。 (4) 皿ボルト 頭が出ては困るところに用いる頭が皿状のボルト。 (5) 植込みボルト 丸棒の両端にねじを切り,一端のねじ部を本体に植込む。 (6) 蝶ボルト 指でねじ込めるようにつまみをつけたもの。 (7) 角根丸頭ボルト 丸形の頭の下に回り止め用の四角な軸部をもち,機械に取付ける木製部分など物体の角穴に軸部を入れてナットで締めつける。 (8) Uボルト 管などを固定するのに用いるU字形に曲げた丸棒の両端にねじを切ったボルト。その他,工作機械のベッドにみられるT溝ボルト,一種の吊金具であるアイボルト,レールの継目板を締めつける継目板ボルト,自動車のボディに用いられる溶接ボルト,2枚の板の間隔を常に一定に保つ控えボルトなどがある。 (→基礎ボルト )
ボルト
Bolt, Usain
[生]1986.8.21. モンテゴベイ
ジャマイカの陸上競技選手。フルネーム Usain St. Leo Bolt。ジャマイカ山間部トレローニー地区で食料品店を営む両親の間に生まれ,少年時代はクリケットの速球投手として活躍した。マンチェスター・ユナイテッドなどの名門サッカーチームに強く憧れていたが,学校のコーチに陸上競技へと導かれる。最初に神童として注目されたのはジャマイカ国立競技場で行なわれた 2002年世界ジュニア選手権大会で,大会史上最年少の 15歳で 200mの金メダルを勝ちとった。2008年北京オリンピック競技大会では,1984年ロサンゼルス・オリンピック競技大会のアメリカ合衆国のカール・ルイス以来で初めて,一大会において 100m,200m,400mリレーで優勝し,またすべてで世界記録(9秒69,19秒30,37秒10)を樹立した初の選手となった。身長 196cmのボルトは,長身の短距離選手はスタート時の加速が鈍いため不利という定説を覆した。2009年世界選手権大会では,100m決勝で自身の記録を更新する 9秒58で優勝。200mでも 19秒19と大幅に記録を更新し優勝した。2012年ロンドン・オリンピック競技大会では 100mと 200mでタイトル防衛に成功し,史上初めて両種目でのオリンピック連覇を達成,400mリレーでも金メダルを獲得した。
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ボルト
① ねじの一つ。部分と部分を締めつけ固定する部品。鋼製で雄ねじが切ってある軸部と頭部からなり、普通ナットと一組。頭部の形や用途から種々の種類がある。
※舶用機械学独案内(1881)〈馬場新八・吉田貞一〉後「許多の孔を穿ち螺釘(ボールト)を以て汽筩に附着す」
② ドアや窓をしめて固定しておくためのとめがね。かんぬき。
※虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一七「上下の栓釘(ボールト)を抜き放って、〈略〉仏蘭西窓を、床を掃ふ如く、一文字に開いた」
ボルト
〘名〙 (volt イタリアの科学者ボルタの名から) 電圧・電位あるいは起電力の単位。一アンペアの電流が流れている導体の二点間で、電気によってなされる仕事率が一ワットの時、この二点間に存在する電位差。記号V 〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕
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ボルト
ボルト
volt
記号 V.電位差,電圧または起電力のMKSA単位系および国際単位系(SI単位).1 A(アンペア)の一定電流が流れる導体上の2点間において消費される電力が1 W(ワット)に等しいとき,この2点間に存在する電位差を1 V とする.A. Volta(ボルタ)の名前にちなんだ名称.各単位系の間の換算は次のとおり.
1 V = 1 J A-1 s-1 = 108 電磁単位
= (1/3)×10-2 静電単位
= (1/3)×108 ガウス単位
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ボルト【volt】
電圧・電位・起電力の国際単位。記号は「V」。1Vは導体の2点間に1Aの電流が流れて、消費される電力が1Wのときの電圧。1クーロンの電荷をもつ物体が、この電位差で加速されると、1ジュールのエネルギーが得られる。乾電池の電圧は1.5V、日本の家庭用の交流電源の電圧は100V。◇名称は、イタリアの物理学者ボルタにちなむ。
出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報
ボルト
2008年製作のアメリカ映画。原題《Bolt》。ディズニー製作の3Dアニメーション映画。監督:クリス・ウィリアムズ、バイロン・ハワード、声の出演:ジョン・トラボルタ、マイリー・サイラス、マルコム・マクダウェルほか。第81回米国アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネート。
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知恵蔵
「ボルト」の解説
ボルト
SIの電圧(電位、起電力)の単位。固有の名称を持つ組立単位で、イタリアの物理学者名にちなむ。1 Aの定常電流が流れる導体の2点間で1Wの電力が消費されている時、その2点間の電圧が1 Vである。現在では、ボルトの基準はジョセフソン効果を用いた量子標準によっている。
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デジタル大辞泉
「ボルト」の意味・読み・例文・類語
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ボルト【volt】
国際単位系における電圧,電位差および起電力の単位。記号はV。回路の2点間に消費される電力が1Wのとき,1Aの電流が流れる2点間の電圧をいう。交流の場合には,その瞬時値の一周期にわたる2乗平均の平方根,すなわち実効値が直流の値と等しいとき,同じ単位を用いる。実用的にはカドミウム標準電池を単位の現示に用い,20℃で1.01864Vである。また最近では,ジョセフソン効果により,2e/h(eは電気素量,hはプランク定数)を一定として,電圧単位を誘導することが国際的に勧告されている。
ボルト【bolt】
ナットなどめねじ部品と組み合わせて機械部品,建築構造部品などの締結に使用されるおねじ部品。ねじ【北郷 薫】
[ボルトの製造]
ボルトは線材から頭部はヘッディングという一種の冷間鍛造によって,ねじ部は転造と呼ばれる回転鍛造によって製造される。もちろん切削加工でも製造できるが,素材として頭部と同じ径の線材から削り出す必要があり,またねじ部の山は側面を削りとられているために,材料の弱い層がむき出しになって山を横断しているおそれがあって,強度の面で不安もある。
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世界大百科事典内のボルトの言及
【ねじ】より
…(5)その他 以上のほかにも,台形ねじ,自転車専用の自転車ねじ,管端にねじを切る場合に用いる管用ねじ,電球の口金および受金に用いる電球ねじなど多くの規格がある。【北郷 薫】
〔ねじ部品の種類〕
(図6)
【ボルトbolt】
一端(あるいは両端)におねじを切った比較的大きい棒状の機械部品。ナットと組んで用いられることが多く,通常は頭部(ボルト頭)と軸部からなり,軸部の一端にねじ部がある。…
【ねじ】より
…螺子(らしとも読む),捻子,捩子などの字があてられ,スクリューということもある。 ねじはあらゆる分野で大量に使用されており,その用途は,機械や構造物の部分どうしを強固に結合するための締結用(ボルト,ナット,木ねじなど),回転運動を直線運動に変換する運動用(工作機械の送りねじ,親ねじなど),微細な位置決め(デバイダーやコンパスの開きの調節など),微小寸法の拡大・指示(マイクロメーターのスピンドルなど),大きな力を発生させる倍力用(ジャッキ,万力など)に大別される。 現在行われているねじの製造法は切削を利用したものと塑性加工を応用したものに大別できる。…
※「ボルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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