日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブタノール」の意味・わかりやすい解説
ブタノール
ぶたのーる
butanol
脂肪族飽和アルコールの一種で、ブチルアルコールbutyl alcoholともいう。炭素数4個の飽和炭化水素ブタンの水素原子1個がヒドロキシ基で置換された構造をもつ。次の4種の異性体がある。いずれも独特のにおいを有する。
(1)1-ブタノール(n-ブチルアルコール) 石油化学で得られるプロピレンからオキソ法により、あるいはアセトンブタノール発酵により得られる。塗料の溶剤として、また酢酸とのエステルは溶剤として、フタル酸のエステルは可塑剤として使われる。
(2)2-ブタノール(第二ブチルアルコール) ブテンに水を付加させて製造する。不斉炭素原子があるので一対の光学異性体が存在するが、市販品は両者が等量混合したラセミ体である。溶剤やエッセンスの原料として利用される。
(3)2-メチルプロパノール(イソブチルアルコール) ペイントなどの洗浄液や果実エッセンスの原料として用いられる。
(4)2-メチル-2-プロパノール(第三ブチルアルコール、t-ブチルアルコール) 2-メチルプロペン(イソブチレン)への水の付加により製造される。石油添加剤や第三ブチル化剤として用いられる。いずれの異性体も空気中に数パーセント存在すると引火しやすく、室内における許容濃度も規定されている。
[徳丸克己]