日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フリードリヒ・ウィルヘルム(1世)
ふりーどりひうぃるへるむ
Friedrich Wilhelm Ⅰ
(1688―1740)
プロイセン国王(在位1713~40)。プロイセン絶対主義の確立者で、その軍人的性格から「軍人王」Soldatenkönigとよばれる。近衛(このえ)連隊に長身兵を集めたことは有名である。内政においても軍隊の増強とそれを支える財政の整備に重点を置いたが、彼はこれを組織的、体系的に行う才能を有した。傭兵(ようへい)に依存した従来の軍隊を国内での徴兵中心の軍隊に切り替えた「カントン(徴兵区)制度」の施行(1733)、また総監理府の設置(1723)による国内財務行政の一元化は彼の大きな功績である。王権を「青銅の岩」のごとくに安定させると呼号した国王は、財政面では貴族の抵抗を排除し、他方貴族を将校に登用して、国王と一体の貴族将校団をつくった。そして行政にも軍隊的規律を要求し、産業振興に努めるとともに率先して節倹を励行したこの「軍人王」は、その没時6万6000の強兵と700万ターラーを超える軍用金を残したのである。
[坂井榮八郎]