フッ素ゴム(読み)ふっそごむ(英語表記)fluoro rubber

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フッ素ゴム」の意味・わかりやすい解説

フッ素ゴム
ふっそごむ
fluoro rubber

フッ素を含む高分子からなる特殊合成ゴム総称。六フッ化プロピレン‐フッ化ビニリデン共重合体(FKM)が代表であり、テトラフルオロエチレン‐プロピレン共重合体(FEPM)、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロビニルエーテル共重合体(FFKM)などがある。架橋ポリアミンポリオールで行う。その他含フッ素のアクリル系、シリコーン系、およびポリエステル系などがある。ゴムのなかで最高の耐熱性(200~250℃)があり、耐油性、耐候性、耐薬品性も著しく優れている。加工性や反発弾性が劣り、非常に高価である。航空機・宇宙・自動車産業、化学プラントなど過酷な使用条件を必要とする分野でパッキング、オイルシール、ガスケットダイヤフラムバルブ燃料ホースなどに用いられる。

[福田和吉]

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化学辞典 第2版 「フッ素ゴム」の解説

フッ素ゴム
フッソゴム
fluorocarbon rubber

フルオロオレフィンを単独または共重合させて得られるゴム状物質の総称.フルオロアクリル酸エステル重合体,フルオロビニリデン共重合体,含フッ素ケイ素ゴム,含フッ素ポリエステルゴム,含フッ素ジエン共重合体などがある.代表的なものには次のようなものがある.

KelF(ケルエフ)エラストマーは,低温特性がよく,脆性破壊温度は約-100 ℃ 以下で,電気絶縁性もよい.概してフッ素含有量が大きく,特殊用途のゴムであり,耐熱性,耐薬品性,耐老化性および耐寒性にすぐれ,油,燃料などに強い抵抗力をもつ.ゴムのなかでもっとも耐熱性に富んでいる.工業用パッキング,耐薬品用ホース,超音速航空機用部品,ロケットなどの宇宙開発材料として使用されているが,コスト面からその用途は限定される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フッ素ゴム」の意味・わかりやすい解説

フッ素ゴム
フッそゴム
fluoro rubber

フッ素を組成のなかに含むゴム状弾性体の総称。種類は多く,代表的なものとして六フッ化系のフッ素ゴム (フッ化ビニリデンとヘキサフルオルプロピレンの共重合体) がある。共通の性質としてすぐれた耐熱性,耐薬品性,特に耐油性をもっている。もともと軍需用ジェットエンジンの耐熱,耐薬品性弾性体を目的として開発された特殊ゴム。航空機関連,自動車工業関連,原子力発電,化学プラントなどの高機能部品からホース,ライニングまで広範に用いられている。近年需要量が急増しており,1970年代に 100t程度であったが,現在は 10~15倍の需要があると推定されている。

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