フォール(Félix Faure)(読み)ふぉーる(英語表記)Félix Faure

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フォール(Félix Faure)
ふぉーる
Félix Faure
(1841―1899)

フランスの政治家、第三共和政第6代大統領。ル・アーブルの実業家出身。同市の商工会議所会頭、市助役を経て、1881年穏健共和派の代議士となる。ガンベッタ内閣の植民・通産次官、ついでフェリー内閣の海軍・植民次官を歴任タヒチ、ニュー・カレドニア、アフリカ西海岸などの植民地経営を推進した。1892年下院副議長、1894年海軍相を務めたのち、1895年1月王党派のブリッソンを破り大統領に選出された。在任中、外政ではマダガスカル領有とロシア・フランス同盟の強化に成功したが、内政ではドレフュス事件によって国論が二分される危機に直面した。フォールは、ドレフュス再審拒否の立場をとったが、その渦中の1899年1月、エリゼ宮脳溢血(のういっけつ)のため急死した。

谷川 稔]

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