フィッシャー(動物)(読み)ふぃっしゃー(英語表記)fisher

翻訳|fisher

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィッシャー(動物)」の意味・わかりやすい解説

フィッシャー(動物)
ふぃっしゃー
fisher
[学] Martes pennanti

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。大形のテンで、カナダとアメリカ合衆国北部の森林にすむ。体長50~90センチメートル、尾長25~50センチメートルで、雌はやや小さい。毛色は黒褐色で、前頭部から頭頂部は淡色、腹面は濃色である。腰から腹に白斑(はくはん)をもつものもある。習性はテンと共通であるが、樹上よりも地上にいることが多く、ことに水辺でとらえられるのでフィッシャー漁夫の意)とよばれたが、実際の食物は80%まで小形哺乳類、とくにリス類であり、ほかには小鳥昆虫、果実などで、魚はほとんど食べない。ただし、水泳は巧みである。日中は岩陰や朽ち木の洞にいて、夜に活動する。3~5月ごろ交尾するが、胎児着床は翌年の1~3月まで遅れ、出産まで約1年を要する。毛皮はアメリカテンよりも劣るが、かなり高価で、カナダでは年間1万枚程度取引されている。アメリカ合衆国ではかつてはより南部まで分布していたが、現在では北部の限られた地域にしか生息しない。

朝日 稔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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