ピウス(10世)(読み)ぴうす(英語表記)Pius Ⅹ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピウス(10世)」の意味・わかりやすい解説

ピウス(10世)
ぴうす
Pius Ⅹ
(1835―1914)

ローマ教皇(在位1903~1914)。俗名ジュゼッペ・メルキオーレ・サルトGiuseppe Melchiorre Sarto。レオ13世(在位1878~1903)を継ぐ。前任者より近代思想に対し保守的であったとされるが、現実には「すべてをキリストのうちに再建する」という即位教書が示すように、司牧典礼秘蹟(ひせき)(サクラメント)、聖職者教育などの面で重要な改革を行い、教会法の法規改正に着手した(教皇死後1917年に完成)。第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)の危機を予見し、平和への発言を行ったが成功せず、開戦直後に死去。1954年、列聖。

[磯見辰典 2017年12月12日]

『J・ハヤール他著、上智大学中世思想研究所編訳『キリスト教史 第11巻』(1982/新装版・1991・講談社/改訂版・平凡社ライブラリー)』『P・G・マックスウェル・スチュアート著、高橋正男監修、月森左知・菅沼裕乃訳『ローマ教皇歴代誌』(1999・創元社)』『鈴木宣明著『ローマ教皇史』(教育社歴史新書)』

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