バーンチェーン(読み)ばーんちぇーん(英語表記)Ban Chiang

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーンチェーン」の意味・わかりやすい解説

バーンチェーン
ばーんちぇーん
Ban Chiang

タイ北東部、ウドン・ターニ県ノーンハーン郡バーンチェーン村にある金属器時代の遺跡。1967年タイ国芸術局の試掘青銅器とともに彩文(さいもん)土器が土壙(どこう)墓から出土。彩文土器は熱ルミネセンス法による年代測定の結果、約6000年前と報告され、東南アジア最古の青銅器文化に属する土器として注目された。1972、73年タイ国芸術局、74、75年アメリカ・タイ合同調査団が発掘調査を実施。遺跡は水田に囲まれた微高地にあり、遺物は多く副葬品として発見されている。合同調査団は葬法および土器の特徴から早・中・晩期に分期し、早期中ごろに青銅製腕輪、有袋の斧(おの)や槍先(やりさき)、後半に鉄刃青銅柄の利器を位置づけている。有刻の渦巻文様をもつ彩文土器やビーカー状土器は早期を、腰や肩の張った特異な白色土器は中期を、淡黄色の化粧土に手書きの彩文をもつ土器は晩期を特徴づける。早期前半に位置づけられた縄文土器を新石器時代後期とする説もある。ほかに土製投弾、米、ガラス小珠(こだま)も出土しているが、年代をはじめ、遺構と層位の関係など、今後に残された問題は多い。この遺跡は1992年に世界遺産文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[青柳洋治]

『量博満著『バーンチェン文化』(太田豊人編著『バンチェン陶大観』所収・1977・雄山閣出版)』

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