日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バーリン(Isaiah Berlin)
ばーりん
Isaiah Berlin
(1909―1997)
イギリスの政治学者。ロシア帝国領当時のラトビアの首都リガに生まれ、幼時にイギリスに移住。オックスフォード大学卒業後、1930年代には同大学研究員として論理実証主義の新風を吹き入れた。1941~1946年、ニューヨーク、ワシントン、モスクワで情報活動に従事したのちオックスフォードに帰り、チチェリ講座主任教授、ウォルフソン・カレッジ学長を歴任した。鋭い現実感覚と明晰(めいせき)な言語分析によって価値一元論を批判し、価値多元論に基づく自由主義を主張。多方面の著書論文を発表した。主要論文を集めた著作集4巻(1978~1980。Ⅰ Russian Thinkers, Ⅱ Concepts and Categories, Ⅲ Against the Current, Ⅳ Personal Impressions)があり、単行本に『自由論』Four Essays on Liberty(1990, Oxford Paperback)、『ヴィーコとヘルダー』Vico and Herder(1976)などがある。
[山下重一]
『小川晃一・小池銈・福田歓一・生松敬三訳『自由論』Ⅰ・Ⅱ(1971/2000・新装版・みすず書房)』▽『小池銈訳『ヴィーコとヘルダー』(1981・みすず書房)』▽『福田歓一・河合秀和他編訳『バーリン選集』Ⅰ~Ⅳ(1984~1992・岩波書店)』▽『バーリン著、田中治男訳『バーリン ロマン主義講義』(2010・岩波書店)』