日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
バイエル(Ferdinand Beyer)
ばいえる
Ferdinand Beyer
(1803―1863)
ドイツのピアノ奏者、作曲家。クウェーアフルトに生まれ、サロン風ピアノ小品や管弦楽曲のピアノ用編曲で人気を得た。しかし今日では『バイエル・ピアノ教則本』Vorschule im Klavierspiel(作品101)によってのみ知られている。このいわゆる『バイエル』は、1880年(明治13)に音楽取調掛(とりしらべがかり)(東京芸術大学の前身)教師として赴任したアメリカ人のお雇い外国人教師L・W・メーソンによってピアノ教育に導入されて以来、とくに日本において初学者の教材として普及し、今日に至るまでピアノ入門期の代名詞といえるほどの地位を保っている教則本である。
[大久保一]