ハインリヒ(5世)(読み)はいんりひ(英語表記)Heinrich V

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハインリヒ(5世)」の意味・わかりやすい解説

ハインリヒ(5世)
はいんりひ
Heinrich V
(1081―1125)

ザリエル朝最後のドイツ国王・神聖ローマ皇帝(在位1106~25)。1105年、聖職叙任権闘争における反国王派の貴族と結んで父王ハインリヒ4世に反乱を起こし、翌年の父の死後正式に国王に選ばれた。だが彼もザリエル家伝統の王権強化政策を踏襲したため、ふたたび国内諸侯と対立することになった。また父王に背いてまで実現しようとした目標、すなわち聖職叙任権闘争を終結させることも、国王側、教皇側がそれぞれの主張を譲らなかったため、幾度もの交渉にもかかわらずはかばかしい進展をみせなかった。その間、1115年ベルフェスホルツの戦いで諸侯側に敗れ、また国王支持の立場をとっていた聖界諸侯も王権から離反し始めたので、ハインリヒは聖職叙任権闘争終結のための交渉を諸侯の手にゆだねた。その結果1122年ウォルムス協約が結ばれ、叙任権をめぐる教権と俗権との紛争にいちおうの終止符が打たれた。だがこの闘争期に聖・俗の諸侯はそれぞれの領域的支配権を強化し、ドイツ国内の封建化の傾向は決定的に進んだ。

[平城照介]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「ハインリヒ(5世)」の解説

ハインリヒ(5世)
Heinrich Ⅴ

1081〜1125
ザリエル朝最後の神聖ローマ帝国皇帝(在位1106〜25)
父ハインリヒ4世に反乱を起こし,父の死後即位。先帝以来の聖職叙任権問題の解決につとめ,1110年ローマ教皇を圧迫して叙任権を握ったが,教会の反発や諸侯の反乱にあい,22年ヴォルムス協約で教皇に譲歩した。

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