ノートカー(Labeo Notker)(読み)のーとかー(英語表記)Labeo Notker

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ノートカー(Labeo Notker)
のーとかー
Labeo Notker
(950ころ―1022)

ドイツの修道士。古高ドイツ語の時代にあって、ドイツ語に堪能(たんのう)であったことから「ドイツ人ノートカー」ともいわれた。少年時、ザンクト・ガレン修道院に入り、のちに付属神学校の校長となり、生涯その職務に忠実であった。生徒がラテン文学を学びやすいようにカトーウェルギリウスなど多くの古典をドイツ語に訳した。ボエティウス『哲学の慰め』、アリストテレス範疇(はんちゅう)論』などの訳業が残されている。活力ある文体、また、未発達の古高ドイツ語に哲学用語を翻訳する能力は驚嘆に値する。

[中沢宣夫 2017年12月12日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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