校長
こうちょう
学校教育法に基づいて置かれる、学校における最高責任者。その職務は、校務をつかさどり、所属職員を監督することである(学校教育法37条第4項。中学校等の規定にも準用される)。校務とは児童・生徒の教育活動はもちろん、それを完遂するために要求される諸般の事務をさし、法令上規定されているものや、教育長が校長に委任するもの等がある。また所属職員の「監督」とは、指揮監督ではなく指導助言であるとされる。
教育を実施する組織である学校の長には、自律的な教育活動を展開する学校経営を可能とする豊かな教育的知見・経験を基にした教育的なリーダーシップが求められる。そのような校長の育成に対し、教育行政や研究者からの支援が重要なものとなっている。
また、上記校長の職務の特徴に基づき、これまで校長には高度の教育的専門性が必要とされてきた。その資格要件に(1)教諭の一種普通免許状または専修免許状を有し、(2)5年以上教育に関する職にあったこととあるのはそのためである。しかし、2000年(平成12)の省令改正により、校長の資格要件が緩和され、教員免許状をもたず、教育に関する職についた経験がないものであっても登用が可能となっている(いわゆる民間人校長)。これは幅広く優れた人材を確保し、民間企業での経験を生かした組織的・機動的な学校運営を実施することで、学校教育の活性化等を図ることを目的としている。
[小柳雅子・浜田博文]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
校長
こうちょう
principal
大学,幼稚園を除く学校の管理・運営上の責任者。職務権限については「校務をつかさどり,所属職員を監督する」(学校教育法37)と定められている。教育職員免許法の創定当初は校長免許状の所持が要件とされていたが,1954年の改正により必要がなくなった。資格要件は文部科学省の省令である学校教育法施行規則で定められ,教諭の専修免許状または一種免許状を有し 5年以上教育に関する職に従事すること,もしくは 10年以上教育に関する職に従事することが要求される(20条)。また 2000年に同法施行規則が改正され,運営上特に必要がある場合に,前述の資格と「同等の資質を有すると認める者」も校長となることができるとされ(同施行規則22),教育業務に携わったことのない者も登用されるようになった。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
校長【こうちょう】
学校教育法によって学校に必置とされる,学校を代表する責任者。教諭の一級普通免許状と5年間以上の教育に関する職の経験がその資格として必要とされるが,私立学校ではより緩やかな特例が定められている。校長の職務は同法28条で〈校務を掌り,所属職員を監督する〉と規定されている。ここでいう〈校務〉とは行政解釈によれば,教育活動を含む人的・物的管理,運営管理等の学校運営上必要な一切の仕事を意味する。
→関連項目教頭
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
こう‐ちょう カウチャウ【校長】
〘名〙 小・中・高等学校などで、校務を総括し、所属の教職員を監督する最高責任者。
学校長。
※当世書生気質(1885‐86)〈
坪内逍遙〉六「学校の評判はわるくなる。校長
(カウチャウ)にゃア呼つけられる」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「校長」の意味・読み・例文・類語
こう‐ちょう〔カウチヤウ〕【校長】
小・中・高等学校などで、校務を統括し、所属職員を監督する最高責任者。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
こうちょう【校長】
小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校・盲学校・ろう学校・養護学校・幼稚園(学校教育法1条)の長。ただし大学の長は学長,幼稚園の長は園長と呼ばれる。校長は当該校を代表し,その運営に責任をもつ。日本において,公立学校の長が最初に規定されたのは,1881年の太政官通達で府県立町村立学校職員の名称・准官等が定められたときである。しかし,当時は学校が小規模であったので,職務内容・資格等については何も規定されていなかった。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の校長の言及
【朝礼】より
…教授・学習の集団として学級が編制され,かつ就学率の増大にともなって小学校児童数が増加し,1学校多級制が一般化する日清戦争後,1890年代末から20世紀初頭にかけて,統合された学校運営をめざす行事として普及・定着をみるようになった。所属の教職員と子どもたちを〈統督〉する学校長の,集団としての学校の統合性を確保するための最も重要な訓練・管理業務の一つとなったのである。子どもと教職員の全員挨拶,学校長の訓話,上席教員からの必要事項の伝達などを内容としていたが,国家主義の強調される1930年代以降は,国民礼法にのっとった儀礼,国旗掲揚,合同体操,シュプレヒコール,分列行進などを含む荘重な行事となり,児童代表の号令下で一糸乱れず進行するファッショ的な集団行動が展開された。…
※「校長」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報