トゲダニ(読み)とげだに

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゲダニ」の意味・わかりやすい解説

トゲダニ
Laelaptidae; laelaptid tick

クモ綱ダニ目トゲダニ科に属する種類総称。体長 0.6mm内外。ネズミ類や鳥類に寄生し,人畜を刺傷することはない。卵胎生で,幼虫→第1若虫→第2若虫→成虫となるが,第1若虫以後吸血する。ネズミトゲダニ Laelaps echidninus,ヒメトゲダニ L. nuttalli,チトゲダニ Androlaelaps fahrenholziなどネズミ類に寄生する種が多く知られており,世界的分布を示す例が多い。 (→ダニ類 )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゲダニ」の意味・わかりやすい解説

トゲダニ
とげだに / 棘蜱

節足動物門クモ形綱ダニ目トゲダニ科Laelapidaeのダニ類の総称。体や脚(あし)に棘(きょく)状の毛をもち、体長0.6~1.2ミリメートルの褐色卵形のダニで、哺乳(ほにゅう)類、ことにネズミ類や、鳥類の巣で生活する多数の種属が含まれる。一部の種類は宿主体液を吸い、ほかのものは巣内で捕食生活を営むが、食性のわかっていない種属も多い。人体を刺したり、さらに伝染病を媒介するという確実な証拠はないが、その可能性は十分にあると考えられている。第二次世界大戦中に、代表種の1種ホクモントゲダニから流行性出血熱の病原体が分離されたという。

[内川公人]

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