チョナン派(読み)チョナンは(英語表記)Jo nang pa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チョナン派」の意味・わかりやすい解説

チョナン派
チョナンは
Jo nang pa

チベット仏教の一宗派。中央チベットのツァン地方チョモナンの地にトクジェ・ツォンドゥー (1243~1313) が寺を建て,ここに拠ったトゥルプパ (1292~1361) らが,チベット仏教一般から唯識説の異解として退けられた説を唱えた。悟りの主体相対を超えるが空ではなく,勝義において恒常不変の仏性であるといった。この派に属するターラナータ (1575~1640?) は蔵巴汗師僧として黄帽派と対立したため,ダライ・ラマ政権の成立後その宗義版木は封印され,寺院は黄帽派に改宗させられた。

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世界大百科事典(旧版)内のチョナン派の言及

【ラマ教】より

…当時流行した《時輪タントラ》由来の瞑想法にも関連して,すべての人間にあるとされる〈如来蔵〉,つまり仏となる素質が経典に説かれた真意は何にあるのかとの議論がおこった。後年,ターラナータを出すチョナン派では,〈如来蔵〉は真理として恒常不変に実在するものであると主張し,大乗仏教でいっさいのもののあり方にはそのもの固有の特質がないとされた〈空〉の原則に背く説明を示した。これに対してプトゥンは,他人の人格を尊重しみずからが修道にひるむことのないように督励するための手段としてこの〈如来蔵〉が説かれたのであり,真理の実体視は仏教では認められないと説明した。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」