チャン・アン複合景観(読み)チャンアンふくごうけいかん

世界遺産詳解 「チャン・アン複合景観」の解説

チャンアンふくごうけいかん【チャン・アン複合景観】

2014年に登録された世界遺産(複合遺産)。チャン・アン複合景観は、ベトナムの北部、ニンビン省紅河デルタ地方の南岸に位置する。水に溶解しやすい石灰岩などで構成された大地が、長年にわたる雨水や土壌水などによって浸食されてできたカルスト地形で、タワーカルストと呼ばれる石灰岩カルストの峰々が渓谷とともに広がる。その壮大さから「ベトナムの桂林」「陸のハロン湾」とも呼ばれる。タムコック・ビックドン洞窟をはじめ、一帯に点在する無数の洞窟からは約3万年前に人類が生活した形跡がわかる考古学的遺物や壁画も発掘されており、それらには当時の狩猟採取生活の様子や気候・環境の変化に対応してきた様子が描かれている。この遺産はまた、10~11世紀の首都として栄えた古都ホア・ルーの遺跡も含まれており、村々と聖地を伴う寺院パゴダ水田などが美しい景観を構成している。このような太古面影を残す雄大な自然や、古代人の生存した足跡を示す遺跡などが総合的に評価され、世界遺産に登録された。◇英名はTrang An Landscape Complex

出典 講談社世界遺産詳解について 情報