日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
チャンドラー(Raymond Chandler)
ちゃんどらー
Raymond Chandler
(1888―1959)
アメリカの推理作家。ハードボイルド推理小説のエスプリに到達した作家として世評が高い。1933年に最初の作品をパルプ・マガジンに発表し、39年の『大いなる眠り』で高い評価を得たが、探偵フィリップ・マーローはこのときの創造である。54年にエドガー賞を受賞した『長いお別れ』は彼の最高傑作といわれ、その凝縮された描写、皮肉な会話、サスペンスと暴力の漂う雰囲気、構成力のあるプロットなどで都会的文学性を漂わせている。ハリウッドの脚本家として、一時期活躍したこともある。
[梶 龍雄]
『『世界ミステリ全集5 チャンドラー』(1972・早川書房)』▽『フランク・マクシェイン著、清水俊二訳『レイモンド・チャンドラーの生涯』(1981・早川書房)』
[参照項目] |