チカモリ遺跡(読み)チカモリいせき

国指定史跡ガイド 「チカモリ遺跡」の解説

チカモリいせき【チカモリ遺跡】


石川県金沢市新保本町にある集落跡。手取川扇状地の末端東辺の沖積地に位置する。縄文時代後期から晩期にかけての大型集落遺跡で、中央部に広場をもつ環状集落と推定される。注目されるのは多量の柱根(柱の根元)で、縦半分に割った柱根約250本、丸柱約45本、そのうち直径80cmを超える柱が4本あった。柱はすべてクリの木で、直径約7mの環状に立て並べた木柱列が発見され、1987年(昭和62)に国の史跡に指定された。出土品には多量の土器石器、土製品、漆製品や種子類がある。現在は史跡公園として整備され、高さ2mに復元した木柱が環状に立てられ、当時の様子が再現されている。公園横の金沢市埋蔵文化財収蔵庫の1階には、チカモリ遺跡から出土した数多くの木柱根が水槽の中で保存展示されている。北陸自動車道金沢西ICから車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チカモリ遺跡」の意味・わかりやすい解説

チカモリ遺跡
チカモリいせき

石川県金沢市の沖積地にある縄文時代の特殊な遺跡。直径 60cmほどの巨大なクリの木の柱を地中深く埋込み,環状の木列をつくっている。円は真円に近く,木でつくられた円形の木列ということでウッド・サークルなどと呼ばれている。時期は縄文時代の晩期で,類似した例は真脇遺跡など日本海岸の地域で発見されている。その性格祭祀に関するもの,葬送儀礼に関するものとする考え方が代表的なものであるが,いずれにせよ日常的なものではないことは明らかである。

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