チェーン‐ストークス呼吸(読み)ちぇーんすとーくすこきゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

チェーン‐ストークス呼吸
ちぇーんすとーくすこきゅう

呼吸と無呼吸の時期が周期的に繰り返される呼吸異常の一種スコットランドのチェーンJohn Cheyne(1777―1836)とアイルランドのストークスWilliam Stokes(1804―78)によって記載された周期性呼吸の一種である。初めはごく小さい呼吸で始まり、しだいに深く数の多い呼吸となり、ふたたびしだいに浅くなって20~30秒くらいの無呼吸の時期に移行する。発生機序は明らかでないが、呼吸中枢自体の感受性低下と炭酸ガス(二酸化炭素)分圧の血中および組織液における変動とによると考えられている。正常者でも睡眠中や高地でこの症状が認められる。脳幹の障害、うっ血性心不全、モルヒネ投与時などにもみられ、原疾患の治療のほか、酸素と炭酸ガスの混合吸入、中枢神経剤や脳血管拡張剤の投与、皮膚刺激などが行われる。

[山口智道]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例