ゾエア幼生(読み)ぞえあようせい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾエア幼生」の意味・わかりやすい解説

ゾエア幼生
ぞえあようせい
zoea larva

節足動物門甲殻綱十脚目(じっきゃくもく)(エビヤドカリカニ類)の発生過程中に出現する幼生ノープリウス幼生に次ぐ時期で、有柄眼(ゆうへいがん)が完成し、8対の胸部付属肢に続いて前5対の腹肢ができ始める。海中を浮遊し、数回の脱皮によってメガロパミシスなど各群特有の幼生形に至る。丸い甲らに棘(とげ)をもつカニのゾエア幼生がもっともよく知られ、幼生がもつ長い棘は浮力保持に役だっている。

[武田正倫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のゾエア幼生の言及

【エビ(海老∥蝦)】より

…甲殻綱十脚目Decapodaに属する節足動物の通称。長尾類と呼ばれることも多いが,腹部がよく発達しているという意味で,腹部が曲がっている異尾類,すなわちヤドカリ類と腹部が退化している短尾類,すなわちカニ類に対比していわれる言葉である。エビ類の体制は,体がクルマエビ類やコエビ類のように遊泳に適している側扁型,イセエビ類やザリガニ類のように歩行に適している横扁型に大別される(図1)。したがって,エビ,ヤドカリ,カニ類を長尾,異尾,短尾亜目と分類するのとは別に,遊泳型のエビ類を遊泳亜目とし,歩行型のエビ類をヤドカリ,カニ類とまとめて歩行亜目とする分類法もある。…

【カニ(蟹)】より

…アサヒガニやキンセンガニ類の歩脚もワタリガニ類の遊泳脚のように平板状であるが,これらはむしろ後ずさりして砂に潜るのに使われる。
[発生]
 カニ類はノープリウス幼生期を卵内で過ごし,ゾエア幼生で孵化(ふか)するのが一般的であるが,淡水生活に適応しているサワガニ類のみは稚ガニが孵化する直接発生である。ゾエア幼生は1本ずつの額棘(がつきよく)と背棘,左右に1本ずつの側棘を備えるのが典型的体制であるが,それぞれの有無は種によって異なる。…

※「ゾエア幼生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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