シャノン(英語表記)Claude Elwood Shannon

デジタル大辞泉 「シャノン」の意味・読み・例文・類語

シャノン(Claude Elwood Shannon)

[1916~2001]米国電気工学者・数学者マサチューセッツ工科大教授。「通信の数学的理論」で情報伝送数学処理を体系化し、情報理論創始者となる。情報量単位ビット概念を導入したことでも知られる。

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改訂新版 世界大百科事典 「シャノン」の意味・わかりやすい解説

シャノン
Claude Elwood Shannon
生没年:1916-2001

アメリカの応用数学者。通信理論を一般化して情報理論をつくり上げた。ミシガン州ゲーロードに生まれ,ミシガン大学を卒業した。1940年にマサチューセッツ工科大学で数学の博士号を取得し,翌年からベル電話研究所に勤めた。57年にマサチューセッツ工科大学教授となった。1948年に発表した論文《通信の数学的理論》により情報理論を開いた。彼は,熱力学における無秩序の度合であるエントロピーを援用して,情報源に存在する不確実さの度合をエントロピーと呼んだ。情報を受けとることにより知識の不確実さの度合の減少する量をエントロピー減少量と定義し,その単位を〈ビット〉と名付けた。情報源の符号化冗長度の問題を取り扱うとともに,通信路の伝送容量に上限が存在すること(シャノンの定理)を指摘した。画像のような情報量の多い信号の伝送にあたっては,情報理論に従って適正な符号化を行わないと,必要以上の周波数帯域幅を占用したり,逆にひずみを生ずることになる。このようにシャノンが始めた情報理論は,今日の通信技術に不可欠である。情報理論は拡張されて,暗号法,言語学,コンピューター設計などに広く応用されている。シャノンはまた,ブール代数によるスイッチ回路の解析オートマトンについても重要な貢献をした。
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百科事典マイペディア 「シャノン」の意味・わかりやすい解説

シャノン

米国の数学者。ミシガン大学,マサチューセッツ工科大学で学び,1941年ベル電話研究所員,1957年マサチューセッツ工科大学教授。通信の数学理論を研究,情報量の単位ビット,通路容量,情報のエントロピー,冗長度などの概念を導入,N.ウィーナーとならび情報理論基礎を築いた。著書《通信の数学的理論》(W.ウィーバーによる解説が付されている,1949年刊)はこの分野の古典。
→関連項目論理回路

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャノン」の意味・わかりやすい解説

シャノン
Shannon, Claude Elwood

[生]1916.4.30. ミシガン,ゲイロード
[没]2001.2.24. マサチューセッツ,メドフォード
アメリカの応用数学者。ミシガン大学で電気工学と数学を学び,マサチューセッツ工科大学の大学院で電気回路理論を研究。 1941年より 57年までベル電話研究所に勤め,48年同僚の W.ウィーバーと共著で『コミュニケーションの数学的理論』を発表した。この本のなかで彼は,エントロピーの概念を使って情報量を定義し,現代の情報理論の基礎を築いた。 57年よりマサチューセッツ工科大学技術研究所教授。

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世界大百科事典(旧版)内のシャノンの言及

【情報】より

…しかし同じ容量をもっていても,区別されない符号が並んでいるのと区別されるものが特定の順序で並んでいるのとでは情報の量が異なる。ハートリーは〈心理的要素を考慮に入れてきめなければならない〉として〈情報量〉の規定を避けたが,シャノンC.E.Shannonは48年,確率pの状態にある情報量Cを-logpで定義した。これだと,確率が小さいほど情報量が大きいという心理的事実と合うのである。…

【情報科学】より

…これは従来の対象別個別の研究の枠を超えて,生体から機械まで情報を主体として統一的に捉える新しい情報科学の成立を宣言する哲学であった。一方,C.E.シャノンは通信の本質を探究する中で,情報の伝達すなわち通信の現象にひそむ情報の本質構造を数学理論として認識し体系化することに成功した。これが1948年に発表された情報理論である。…

【通信容量】より

…これを回線容量ともいう。このような一般的定義以外に,とくに1948年にC.E.シャノンによって確立された情報理論による通信路の能力を表す数学的定義がある。この定義に従えば,通信容量は,注目する通信路に情報理論的に整合した情報源を接続したときに達成される情報伝送速度である。…

【翻訳】より

…この同一言語内の翻訳,言換えから〈意味〉というものの定義も導き出された。すなわち,情報理論の創始者であるC.E.シャノンはこの意味を〈翻訳の際の不変体〉と規定し,この規定がヤコブソンや文化記号論研究者たちによって取り入れられたのである。同様の考えはすでにC.S.パースやバフチンによっても述べられていた。…

※「シャノン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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