シオミズツボワムシ(読み)しおみずつぼわむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シオミズツボワムシ」の意味・わかりやすい解説

シオミズツボワムシ
しおみずつぼわむし / 塩水壺輪虫

袋形(たいけい)動物門輪毛虫綱単生殖巣上目ツボワムシ目ツボワムシ科のうち、海水または混合海水域に生息している1属(3種6亜種)の総称、またはそのなかの1種。養鰻池(ようまんいけ)で大発生し、「水変り」現象をおこすので知られているが、近年では魚貝類の種苗量産の餌料(じりょう)として各地で培養されている。培養タンク中には、しばしばL型とS型とよばれる2型が混在し、前者は大形で軟らかい袋状をなし、主として低温時に出現する。後者は小形で硬い箱状をなし、主として高温時に出現する。和名シオミズツボワムシBrachionus plicatilisは前者に属する。この種は、体長150~350マイクロメートル。被甲の背面前縁には鋸歯(きょし)状の切り込みがある棘(とげ)をもち、腹面前縁は2対の半円形突出をもつ。各地の塩水域に多産する。

[鈴木 實]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シオミズツボワムシ」の意味・わかりやすい解説

シオミズツボワムシ
Brachionus plicatilis

袋形動物門輪虫綱遊泳目ツボワムシ科。体は長さ 0.1~0.3mmの卵円形で,被甲は軟らかく,背腹の両甲に分れない。背面前端に6本の棘毛が並び,腹面の前縁は4葉に分れる。沿岸汽水や海水中にすみ,ときに大発生することがある。稚エビや各種稚魚の餌料用として培養もされる。

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世界大百科事典(旧版)内のシオミズツボワムシの言及

【袋形動物】より

…この耐久卵は休眠期間を経たあと雌に発達する。シオミズツボワムシは種苗生産のおりの餌として,大量に飼育して利用されている。ワムシ 腹毛綱Gastrotrichaは体型がイタチに似ているところからイタチムシ(イラスト)と呼ばれ,池や沼の水底をはったり,ときに泳ぐこともある。…

【ツボワムシ(壺輪虫)】より

…体の大きさや形態には非常に幅広い変異が見られる。近縁種のシオミズツボワムシB.plicatilis(イラスト)は2亜種よりなり,被甲の背面前縁に6本のとげがある。汽水や塩水中に広く分布するが,これを人工的に培養して養殖中の稚エビや稚魚などの餌に用いる。…

【ワムシ(輪虫)】より

… 池や沼ではツボワムシBrachionus calyciflorus,ツキガタワムシLecane lunaミズワムシEpiphanes senta,カメノコウワムシKeratella cochlearisなどがふつうに見られる。ワムシは稚魚や稚エビなどの餌として好適で,そのため各養殖場ではシオミズツボワムシB.plicatilis(イラスト)を培養してこれらに与えている。【今島 実】。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」