コンテナー輸送(読み)コンテナーゆそう

改訂新版 世界大百科事典 「コンテナー輸送」の意味・わかりやすい解説

コンテナー輸送 (コンテナーゆそう)

コンテナーcontainerと呼ばれる一定の大きさの箱に貨物を積み込んで輸送すること。コンテナーは19世紀末にアメリカで考案され,1920年ころから欧米鉄道貨物輸送に使用されるようになった。今日の国際海上輸送においては,国際規格の容器として,横8フィート,縦8フィート,長さは20フィート,30フィート,40フィート(1フィートは約30.5cm)の3種類のコンテナーが広く利用され,国内輸送においてはJRの5トン・コンテナー,トラック輸送業者や荷主が私有する10トン・コンテナーが用いられている。このような輸送方式は輸送と荷役の近代化の一環として1960年代から急速に普及するようになった。いまでは国際海運はもとより国内輸送にとっても雑貨輸送に欠くことのできない輸送方式となっている。

 コンテナー輸送の特色は次の二つである。まず第1には,貨物をコンテナーに入れて輸送することによって,港の中での積込みや積卸しに要した荷役費用・時間が節約でき,荷傷みを防ぐことができるようになったことである。コンテナーをコンテナー船に積み込んだり,降ろしたりするためにはガントリー・クレーン(門型クレーン)が用いられ,コンテナーをつり上げて移動する荷役形態が機械的にできるようになった。このような荷役形態をリフト・オンlift-on,リフト・オフlift-offと呼ぶ。これによって貨物の積卸しに要する費用や時間が大幅に縮減され,輸送の効率化・迅速化が進んだ。第2の特色は,コンテナーの利用によって発荷主の戸口から着荷主の戸口まで,〈ドア・ツー・ドア〉の輸送が可能になり,海上輸送と陸上輸送がスムーズに連係できるようになったことである。このようにコンテナーの容量の大きさに貨物をまとめること(ユニット化と呼ぶ)によって,海上輸送と陸上輸送,あるいは航空輸送と陸上輸送が互いに協同しあいながら,戸口から戸口まで一貫して輸送するシステム,すなわち協同一貫輸送が可能になったのである。
コンテナー船
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