グリゴロービチ(Dmitriy Vasil'evich Grigorovich)(読み)ぐりごろーびち(英語表記)Дмитрий Васильевич Григорович/Dmitriy Vasil'evich Grigorovich

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グリゴロービチ(Dmitriy Vasil'evich Grigorovich)
ぐりごろーびち
Дмитрий Васильевич Григорович/Dmitriy Vasil'evich Grigorovich
(1822―1900)

ロシアの小説家、美術評論家。作風は写実主義的傾向。シンビルスクの地主貴族の家に生まれる。母は亡命フランス人。ペテルブルグ陸軍工兵学校(ここでドストエフスキーを知る)、のち美術学校に学ぶ。中編小説『村』(1846)、『不幸者アントン』(1847)が代表作。農民の悲惨な生活を描いて、ツルゲーネフ猟人日記』に先んじた。長編小説に『漁夫』(1853)、『移住者』(1856)があり、民俗学的資料に富む。後期の代表作に、少年軽業(かるわざ)師の悲劇的な運命を描いた中編『ゴム少年』(1883)がある。

[佐々木彰]

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