グラデュエート・スクール(読み)ぐらでゅえーとすくーる

大学事典 の解説

グラデュエート・スクール

アメリカ合衆国で発生した,カレッジの卒業者(グラデュエート)が研究的な学修をするための組織(スクール)。19世紀に高い水準の教育と研究を行っていたドイツの大学には,当時学士課程のみのカレッジしか存在しなかったアメリカのカレッジ卒業者たちが多数留学した。彼らは帰国後,そのレベルの教育を本国でも実施しようとし,そこに卒前教育(アメリカ)(アンダー・グラデュエート(アメリカ))と明確な区切りを持ち,組織化された卒業者教育,つまりグラデュエート・エデュケーション(アメリカ)が発生した。リベラルアーツの機関であるアメリカのカレッジ上にできたグラデュエート・スクールもリベラルアーツ分野の組織で,取得される学位Ph.D.(アメリカ) (Doctor of Philosophy(アメリカ)),つまり哲学博士(アメリカ)というアカデミックな研究者としてのものであり,通常,カレッジとグラデュエート・スクールはアーツ・アンド・サイエンスの教員団(ファカルティ)によって担われる。医師,法曹その他の専門職系の組織は,グラデュエート・レベルであってもプロフェッショナル・スクール(アメリカ)と呼ばれ,通常はグラデュエート・スクールとは言わない。またグラデュエート・スクールの名称も絶対的なものではなく,大学によってはグラデュエート・ディビジョン(アメリカ)(graduate division(アメリカ))など別の名称で呼んでいる。
著者: 舘 昭

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のグラデュエート・スクールの言及

【大学院】より

…専門職能教育,研究者の育成がおもな役割であるが,現代ではすでに専門職に就いている者の再教育の場としても重視されている。もっとも,大学院的な機関の制度や形態は一様ではなく,アメリカ,イギリス,日本のように卒業後課程(ポスト・グラデュエート・コースpost‐graduate course,グラデュエート・スクールgraduate school)として定型化している国もあるが,フランス,ドイツ,ロシアなどのように,もっぱら学位取得のコースだけがあって,独立の機関とはいえない国もある。 独立組織としての大学院制度は,19世紀半ば以降アメリカで発達した。…

※「グラデュエート・スクール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」